全科協ニュース,Vol.32. No.6(通巻第187号)「音声・電子ガイド」特集  掲載
音声ガイドの可能性                 


株式会社乃村工藝社 文化環境カンパニー企画プロデュース部
広沢公太郎

1、音声ガイドの優位性

展示解説のメディアには解説パネルから、最近ではインタープリターによるガイドまで多種ある。その中で音声ガイドのメディアとしての優位性を述べると以下のようなものがある。
展示物を凝視しながら視線を移動せずに展示物に集中できる。これは他のメディアに真似の出来ない優位性である。理解度の高い展示理解につながる。最近では「AR・強化現実」という展示物にCGや動画を重ねる方式があるが普及には当分時間がかかる。
個人の展示観察速度、属性に対応できる。英語、中文、韓国語の解説を行っている施設も出てきている。きめの細かい個人対応、これが理解度の高い展示理解につながる。
バリアフリー対応可能。視覚障害者向けには施設利用案内から展示解説まで、液晶表示をつければ聴覚障害者向けの音声の文字化による利用案内や解説が可能になる。
基本的にはイヤフォーン再生のため至近距離でも解説音声間の干渉がない。

2、常設的採用に至らない課題


貸し出し管理のわずらわしさ。盗難防止や破損など、人件費もかさむ。
装置の充電やクリーニング・メンテナンスのわずらわしさ。
システムが高額であり、貸出料(500円が多い)で初期導入費用やメンテナンス費、ソフト更新費が出ない。結果として美術館の企画展のような短期的な運営一体型での採用が多く、常設ではまだまだ採用例が少ない。

3、現状の音声ガイド仕様

録音時間・再生時間:フラッシュメモリーが主流で4時間以上の録音が可能。テープのような劣化の心配なし。解説のランダム選択も自在。圧縮技術の採用で録音(ダウンロード)も短時間。電池寿命が延び再生時間では6時間以上をクリアしている。
音質:CDレベル。音質や立体再生は極めて重要。CDレベルであれば、没入感が増す。
解説の選択:入館者によるスイッチの番号選択か赤外線検知による自動解説音選択。視覚障害者向けには、赤外線や無線による誘導方式が必要になる。赤外線方式は混雑時に入場者による赤外線遮光予防の工夫が必要。無線方式はエリアの限定に工夫が必要。
高価格:1台あたり7万から10万。市販のプレーヤーに比べ高い。

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