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北九州自然史・歴史博物館での調査概要

 2002年11月3日にオープンした当館の開館直後の貴重な機会を利用して,入館者の動向・意識を捉えるために行った.特に,エンバイラマ館に採用された音声ガイドシステムの使用感に焦点を当てた.

【1】館全体の調査
 まず,館全体を対象とする調査は,開館1週間の無料期間中の休日と平日各1日,および11月11日以降の有料期間に入ってからの平日と休日の各1日ずつ,合わせて4日間行われた.入館者が退館する際に,出口のところで協力を呼びかけ,応じてくれた人に実施するという方式をとった.調査に用いたアンケート用紙を付表1に添付した.実施日ごとの回収数は,表1のとおりであった.

表1. 館全体の調査への実施日別の回答者数

  平日 祝日 合計
無料期間 125 240 365
有料期間 67 156 223
合計 192 396 588

[1-1] 選択肢質問データ
 フェイスシート項目に関しては,どの日も男性よりも女性がやや多く,居住地は圧倒的に市内と県内で占められており,車での来館が多いという特徴が認められた.実施日に違いが見られたのは,有料期間・無料期間とも,休日には家族連れが非常に多く,それにより小学生と30代・40代が多いという点であった.その一方で,中学生層から大学生層はどの日も非常に少なく,家族連れで親と行動をともにするのは,小学生以下のようである.また,平日には50代以上が目立つが,休日には急激に減少している.実施日別の来館理由については,全体的に“博物館に関心がある”,“新しい施設を見たかった”,“自然史・自然科学に関心がある”が多かった. また,無料期間中の入館者では,“無料だから”を半数近くの人たちが理由に上げた.
 [実施日]×[もう一度来たいか]と[実施日]×[エンバイラマ館を見たか]のクロス集計では,実施日による有意な差が認められた.後者は,今回の研究テーマに直接結びつくことがらなので別に述べることにし,ここでは前者について述べる.「もう一度来たいか」の問いに対し,“ぜひ来たい”と答えた人は無料休日の来館者に多く,無料平日と有料休日では“できれば”との回答が相対的に多い.この事実が,無料・有料の違いを反映しているのか,無料休日では混雑したため十分鑑賞できなかったためなのかは確定できない.この問題を検討するため,[エンバイラマ館を見たか]×[もう一度来たいか]のクロス集計を行った.その結果,もう一度来たいかどうかの回答割合は,エンバイラマ館を見たかどうかに影響されなかった.このことから,少なくともエンバイラマ館を見なかったことがもう一度来たいという気持ちを押し上げたと考えることはできない.
 さて,[実施日]×[エンバイラマ館を見たか]のクロス集計でも,実施日の違いによる有意差が認められた.有料になってからの平日・休日には取り立てて違いはないが,無料期間中には,平日ではほとんどの人がエンバイラマ館を見たのに対し,休日には3割以上の人が見ていなかった.混雑がひどくて見たくても見られなかったものと推察できる.感想欄に「エンバイラマ館が2時間待ちで入れなかった」などの記述が複数あった.
 館全体の混雑度については,慎重な評価が必要である.すいていると落ち着いてゆっくり観覧できるから滞在時間が長くなると考えがちだが,その解釈は少なくとも館内滞在時間のデータからは裏づけられない.すいている方が滞在時間は短かったのである.その事実は,[実施日]×[滞在時間]のクロス集計から読みとれた.有料になってからの平日と休日を比べると,休日入館者の方が滞在時間が明らかに長かった.単純に考えれば,混んでいたので鑑賞に時間がかかったと結論づけたいところだが,おもしろいことに有料になってからの休日は,無料期間中の休日よりさらに長い滞在時間を示したのである.無料期間・休日の方が有料期間・休日よりずっと混んでおり,混んでいることが滞在時間の決め手になるのなら,無料期間・休日がもっとも滞在時間が長かったはずである.各調査日の平均滞在時間を[平日・休日]×[無料・有料]の2要因で分散分析したところ,有意な交互作用が認められた.この事実は,これら2つの要因の滞在時間に及ぼす影響の複雑さを反映するものである.
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